ホーム>学習コーナー>学習コーナー>心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針その他の留意事項等

その他の留意事項等

(1)産業医等の役割

 ア ストレスチェック制度における産業医等の位置付け

  産業医は、法第13条並びに規則第13条、第14条及び第15条の規定に基づき、事業場における労働者の健康管理等の職務を行う者であり、そのための専門的知識を有する者である。また、規則第15条の規定に基づき、事業者は、産業医に対し、労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じる権限を与えなければならないこととされている。このように、産業医は、事業場における労働者の健康管理等の取組の中心的役割を果たすことが法令上想定されている。

  このため、産業医がストレスチェック及び面接指導を実施する等、産業医が中心 的役割を担うことが適当であり、ストレスチェック制度の実施責任を負う事業者は、 産業医の役割についてイのとおり取り扱うことが望ましい。

   なお、事業場によっては、複数の医師が当該事業場における労働者の健康管理等の業務に従事しており、その中で、産業医以外の精神科医又は心療内科医等が労働者のメンタルヘルスケアに関する業務を担当している場合等も考えられるが、こうした場合においては、ストレスチェック制度に関して、当該精神科医又は心療内科医等が中心的役割を担うことも考えられる。

 イ 産業医等の具体的な役割

  ① ストレスチェックの実施

  ストレスチェックは当該事業場の産業医等が実施することが望ましい。なお、 ストレスチェックの実施の全部を外部に委託する場合にも、当該事業場の産業医 等が共同実施者となり、中心的役割を果たすことが望ましい。

  ② 面接指導の実施 面接指導は当該事業場の産業医等が実施することが望ましい。

 ③ 事業者による医師の意見聴取

  事業者は、法第66 条の10 第5項の規定に基づき、医師から必要な措置につい ての意見を聴くに当たって、面接指導を実施した医師が、事業場外の精神科医又 は心療内科医等である場合等当該事業場の産業医等以外の者であるときは、当該 事業者の事業場の産業医等からも面接指導を実施した医師の意見を踏まえた意見 を聴くことが望ましい。

(2)派遣労働者に関する留意事項

 ア 派遣元事業者と派遣先事業者の役割

  派遣労働者に対するストレスチェック及び面接指導については、法第66条の10第1項から第6項までの規定に基づき、派遣元事業者がこれらを実施することとされている。派遣労働者に対するストレスチェック及び面接指導の実施に当たって、 派遣先事業者は、派遣元事業者が実施するストレスチェック及び面接指導を受ける ことができるよう、派遣労働者に対し、必要な配慮をすることが適当である。

  また、努力義務となっている集団ごとの集計・分析については、職場単位で実施することが重要であることから、派遣先事業者においては、派遣先事業場における派遣労働者も含めた一定規模の集団ごとにストレスチェック結果を集計・分析するとともに、その結果に基づく措置を実施することが望ましい。

 イ 面接指導に必要な情報の収集

  派遣元事業者は、面接指導が適切に行えるよう、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60 年法律第88号)第42条第3項の規定に基づき派遣先事業者から通知された当該派遣労働者の労働時間に加え、必要に応じ、派遣先事業者に対し、その他の勤務の状況又は職場環境に関する情報について提供するよう依頼するものとし、派遣先事業者は、派遣元事業者から依頼があった場合には、必要な情報を提供するものとする。

  この場合において、派遣元事業者は、派遣先事業者への依頼について、あらかじめ、当該派遣労働者の同意を得なければならない。

 ウ 派遣労働者に対する就業上の措置に関する留意点

   派遣元事業者が、派遣労働者に対する面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案して、就業上の措置を講じるに当たって、派遣先事業者の協力が必要な場合には、派遣元事業者は、派遣先事業者に対して、当該措置の実施に協力するよう要請することとし、派遣先事業者は、派遣元事業者から要請があった場合には、これに応じ、必要な協力を行うこととする。この場合において、派遣元事業者は、派遣先事業者への要請について、あらかじめ、当該派遣労働者の同意を得なければならない。

 エ 不利益な取扱いの禁止

  次に掲げる派遣先事業者による派遣労働者に対する不利益な取扱いについては、一般的に合理的なものとはいえないため、派遣先事業者はこれらを行ってはならない。なお、不利益な取扱いの理由がそれぞれに掲げる理由以外のものであったとしても、実質的にこれらに該当するとみなされる場合には、当該不利益な取扱いについても、行ってはならない。

① 面接指導の結果に基づく派遣労働者の就業上の措置について、派遣元事業者からその実施に協力するよう要請があったことを理由として、派遣先事業者が、当該派遣労働者の変更を求めること。

② 派遣元事業者が本人の同意を得て、派遣先事業者に派遣労働者のストレスチェック結果を提供した場合において、これを理由として、派遣先事業者が、当該派遣労働者の変更を求めること。

③ 派遣元事業者が本人の同意を得て、派遣先事業者に派遣労働者の面接指導の結果を提供した場合において、これを理由として、派遣先事業者が、派遣元事業者が聴取した医師の意見を勘案せず又は当該派遣労働者の実情を考慮せず、当該派遣労働者の変更を求めること。

④ 派遣先事業者が集団ごとの集計・分析を行うことを目的として派遣労働者に対してもストレスチェックを実施した場合において、ストレスチェックを受けないことを理由として、当該派遣労働者の変更を求めること。

(3)外部機関にストレスチェック等を委託する場合の体制の確認に関する留意事項

  ストレスチェック又は面接指導は、事業場の状況を日頃から把握している当該事業場の産業医等が実施することが望ましいが、事業者は、必要に応じてストレスチェック又は面接指導の全部又は一部を外部機関に委託することも可能である。この場合には、当該委託先において、ストレスチェック又は面接指導を適切に実施できる体制及び情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について、事前に確認することが望ましい。

(4)労働者数50人未満の事業場における留意事項

  常時使用する労働者数が50人未満の小規模事業場においては、当分の間、ストレス チェックの実施は努力義務とされている。これらの小規模事業場では、産業医及び衛 生管理者の選任並びに衛生委員会等の設置が義務付けられていないため、ストレスチェック及び面接指導を実施する場合は、産業保健スタッフが事業場内で確保できないことも考えられることから、産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健セ ンター)等を活用して取り組むことができる。

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【 更新日: 2017-4-11

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