ホーム>学習コーナー>学習コーナー>心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針ストレスチェックの実施方法等

ストレスチェックの実施方法等

(1)実施方法

ア ストレスチェックの定義

  法第 66 条の 10 第1項の規定によるストレスチェックは、調査票を用いて、規則第 52 条の9第1項第1号から第3号までに規定する次の3つの領域に関する項目により検査を行い、労働者のストレスの程度を点数化して評価するとともに、その評価結果を踏まえて高ストレス者を選定し、医師による面接指導の要否を確認するものをいう。

① 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目

② 心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

③ 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

イ ストレスチェックの調査票

  事業者がストレスチェックに用いる調査票は、規則第 52 条の9第1項第1号から第3号までに規定する3つの領域に関する項目が含まれているものであれば、実施者の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者の判断により選択することができるものとする。
 なお、事業者がストレスチェックに用いる調査票としては、別添の「職業性ストレス簡易調査票」を用いることが望ましい。

ウ ストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定方法・基準

(ア)個人のストレスの程度の評価方法

  事業者は、ストレスチェックに基づくストレスの程度の評価を実施者に行わせるに当たっては、点数化した評価結果を数値で示すだけでなく、ストレスの状況をレーダーチャート等の図表で分かりやすく示す方法により行わせることが望ましい。

(イ)高ストレス者の選定方法

  次の①又は②のいずれかの要件を満たす者を高ストレス者として選定するものとする。この場合において、具体的な選定基準は、実施者の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者が決定するものとする。

① 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者

② 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者

  実施者による具体的な高ストレス者の選定は、上記の選定基準のみで選定する方法のほか、選定基準に加えて補足的に実施者又は実施者の指名及び指示のもとにその他の医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が労働者に面談を行いその結果を参考として選定する方法も考えられる。この場合、当該面談は、法第 66 条の 10 第1項の規定によるストレスチェックの実施の一環として位置付けられる。

エ 健康診断と同時に実施する場合の留意事項

  事業者は、ストレスチェック及び法第 66 条第1項の規定による健康診断の自覚症状及び他覚症状の有無の検査(以下「問診」という。)を同時に実施することができるものとする。ただし、この場合において、事業者は、ストレスチェックの調査票及び健康診断の問診票を区別する等、労働者が受検・受診義務の有無及び結果の取扱いがそれぞれ異なることを認識できるよう必要な措置を講じなければならないものとする。

(2)実施者の役割

  実施者は、ストレスチェックの実施に当たって、当該事業場におけるストレスチェックの調査票の選定並びに当該調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定基準の決定について事業者に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければならないものとする。
 なお、調査票の回収、集計若しくは入力又は受検者との連絡調整等の実施の事務については、必ずしも実施者が直接行う必要はなく、実施事務従事者に行わせることができる。事業者は、実施の事務が円滑に行われるよう、実施事務従事者の選任等必要な措置を講じるものとする。

(3)受検の勧奨

  自らのストレスの状況について気付きを促すとともに、必要に応じ面接指導等の対応につなげることで、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止するためには、全ての労働者がストレスチェックを受けることが望ましいことから、事業者は、実施者からストレスチェックを受けた労働者のリストを入手する等の方法により、労働者の受検の有無を把握し、ストレスチェックを受けていない労働者に対して、ストレスチェックの受検を勧奨することができるものとする。なお、この場合において、実施者は、ストレスチェックを受けた労働者のリスト等労働者の受検の有無の情報を事業者に提供するに当たって、労働者の同意を得る必要はないものとする。

(4)ストレスチェック結果の通知及び通知後の対応

ア 労働者本人に対するストレスチェック結果の通知方法

  事業者は、規則第 52 条の 12 の規定に基づき、ストレスチェック結果が実施者から、遅滞なく労働者に直接通知されるようにしなければならない。この場合において、事業者は、ストレスチェック結果のほか、次に掲げる事項を通知させることが望ましい。

① 労働者によるセルフケアに関する助言・指導

② 面接指導の対象者にあっては、事業者への面接指導の申出窓口及び申出方法

③ 面接指導の申出窓口以外のストレスチェック結果について相談できる窓口に関する情報提供

イ ストレスチェック結果の通知後の対応

(ア)面接指導の申出の勧奨

  ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者のうち、面接指導の申出を行わない労働者に対しては、規則第 52 条の 16 第3項の規定に基づき、実施者が、申出の勧奨を行うことが望ましい。

(イ)相談対応

  事業者は、ストレスチェック結果の通知を受けた労働者に対して、相談の窓口を広げ、相談しやすい環境を作ることで、高ストレスの状態で放置されないようにする等適切な対応を行う観点から、日常的な活動の中で当該事業場の産業医等が相談対応を行うほか、産業医等と連携しつつ、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい。

(5)ストレスチェック結果の記録及び保存

  ストレスチェック結果の事業者への提供について、労働者から同意を得て、実施者からその結果の提供を受けた場合は、規則第 52 条の 13 第2項の規定に基づき、事業者は、当該ストレスチェック結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
 労働者の同意が得られていない場合には、規則第 52 条の 11 の規定に基づき、事業者は、実施者によるストレスチェック結果の記録の作成及び当該実施者を含む実施事務従事者による当該記録の保存が適切に行われるよう、記録の保存場所の指定、保存期間の設定及びセキュリティの確保等必要な措置を講じなければならない。この場合において、ストレスチェック結果の記録の保存については、実施者がこれを行うことが望ましく、実施者が行うことが困難な場合には、事業者は、実施者以外の実施事務従事者の中から記録の保存事務の担当者を指名するものとする。
 実施者又は実施者以外の実施事務従事者が記録の保存を行うに当たっては、5年間保存することが望ましい。
 なお、ストレスチェック結果の記録の保存方法には、書面による保存及び電磁的記録による保存があり、電磁的記録による保存を行う場合は、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成 17 年厚生労働省令第 44 号)に基づき適切な保存を行う必要がある。また、ストレスチェック結果の記録は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の直接の対象ではないが、事業者は安全管理措置等について本ガイドラインを参照することが望ましい。

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【 更新日: 2017-4-11

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