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ストレスチェック制度に関する労働者の健康情報の保護
ストレスチェック制度において、実施者が労働者のストレスの状況を正確に把握し、メンタルヘルス不調の防止及び職場環境の改善につなげるためには、事業場において、ストレスチェック制度に関する労働者の健康情報の保護が適切に行われることが極めて重要であり、事業者がストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手するよ うなことがあってはならない。このため、法第66条の10第2項ただし書の規定において、労働者の同意なくストレスチェック結果が事業者には提供されない仕組みとされている。このほか、事業者は、次に定めるところにより、労働者の健康情報の保護を適切 に行わなければならないものとする。
(1)実施事務従事者の範囲と留意事項
規則第52 条の10第2項の規定に基づき、ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
なお、事業者が、労働者の解雇、昇進又は異動の人事を担当する職員(当該労働者の解雇、昇進又は異動に直接の権限を持つ監督的地位にある者を除く。)をストレスチェックの実施の事務に従事させる場合には、次に掲げる事項を当該職員に周知させなければならないものとする。
① ストレスチェックの実施事務従事者には法第104条の規定に基づき秘密の保持義 務が課されること。
② ストレスチェックの実施の事務は実施者の指示により行うものであり、実施の事 務に関与していない所属部署の上司等の指示を受けてストレスチェックの実施の事 務に従事することによって知り得た労働者の秘密を漏らしたりしてはならないこと。
③ ストレスチェックの実施の事務に従事したことによって知り得た労働者の秘密を、 自らの所属部署の業務等のうちストレスチェックの実施の事務とは関係しない業務 に利用してはならないこと。
(2)ストレスチェック結果の労働者への通知に当たっての留意事項
規則第52条の12の規定に基づき、事業者は、実施者にストレスチェック結果を労 働者に通知させるに当たっては、封書又は電子メール等で当該労働者に直接通知させる等、結果を当該労働者以外が把握できない方法で通知させなければならないものと する。
(3)ストレスチェック結果の事業者への提供に当たっての留意事項
ア 労働者の同意の取得方法
ストレスチェック結果が当該労働者に知らされていない時点でストレスチェック 結果の事業者への提供についての労働者の同意を取得することは不適当であるため、事業者は、ストレスチェックの実施前又は実施時に労働者の同意を取得してはならないこととし、同意を取得する場合は次に掲げるいずれかの方法によらなければならないものとする。ただし、事業者は、労働者に対して同意を強要する行為又は強要しているとみなされるような行為を行ってはならないことに留意すること。
① ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知 した後に、事業者、実施者又はその他の実施事務従事者が、ストレスチェックを 受けた労働者に対して、個別に同意の有無を確認する方法。
② ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知 した後に、実施者又はその他の実施事務従事者が、高ストレス者として選定され、 面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して、当該労働者が面接指導の対象であることを他の労働者に把握されないような方法で、個別に同意の有無を確認する方法。
なお、ストレスチェックを受けた労働者が、事業者に対して面接指導の申出を行 った場合には、その申出をもってストレスチェック結果の事業者への提供に同意が なされたものとみなして差し支えないものとする。
イ 事業者に提供する情報の範囲
事業者へのストレスチェック結果の提供について労働者の同意が得られた場合に は、実施者は、事業者に対して当該労働者に通知する情報と同じ範囲内の情報についてストレスチェック結果を提供することができるものとする。
なお、衛生委員会等で調査審議した上で、当該事業場における事業者へのストレスチェック結果の提供方法として、ストレスチェック結果そのものではなく、当該労働者が高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた旨の情報のみを事業者に提供する方法も考えられる。ただし、この方法による場合も、実施者が事業者に当該情報を提供するに当たっては、上記アの①又は②のいずれかの方法により、労働者の同意を取得しなければならないことに留意する。
ウ 外部機関との情報共有
事業者が外部機関にストレスチェックの実施の全部を委託する場合(当該事業場の産業医等が共同実施者とならない場合に限る。)には、当該外部機関の実施者及びその他の実施事務従事者以外の者は、当該労働者の同意なく、ストレスチェック結果を把握してはならない。なお、当該外部機関の実施者が、ストレスチェック結果を委託元の事業者の事業場の産業医等に限定して提供することも考えられるが、こ の場合にも、緊急に対応を要する場合等特別の事情がない限り、当該労働者の同意 を取得しなければならないものとする。
エ 事業場におけるストレスチェック結果の共有範囲の制限
事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェック結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司又は同僚等に共有してはならないものとする。
(4)集団ごとの集計・分析の結果の事業者への提供に当たっての留意事項
ア 集団ごとの集計・分析の最小単位
集団ごとの集計・分析を実施した実施者は、集団ごとの集計・分析の結果を事業者に提供するに当たっては、当該結果はストレスチェック結果を把握できるものではないことから、当該集団の労働者個人の同意を取得する必要はない。ただし、集計・分析の単位が少人数である場合には、当該集団の個々の労働者が特定され、当該労働者個人のストレスチェック結果を把握することが可能となるおそれがあることから、集計・分析の単位が10人を下回る場合には、集団ごとの集計・分析を実施した実施者は、集計・分析の対象となる全ての労働者の同意を取得しない限り、事業者に集計・分析の結果を提供してはならないものとする。ただし、個々の労働者が特定されるおそれのない方法で集計・分析を実施した場合はこの限りでないが、集計・分析の手法及び対象とする集団の規模について、あらかじめ衛生委員会等で 調査審議を行わせる必要があることに留意すること。
イ 集団ごとの集計・分析の結果の共有範囲の制限
集団ごとの集計・分析の結果は、集計・分析の対象となった集団の管理者等にとっては、その当該事業場内における評価等につながり得る情報であり、無制限にこれを共有した場合、当該管理者等に不利益が生じるおそれもあることから、事業者は、当該結果を事業場内で制限なく共有してはならないものとする。
(5)面接指導結果の事業者への提供に当たっての留意事項
面接指導を実施した医師は、規則第52条の18第2項に規定する面接指導結果に関する情報を事業者に提供するに当たっては、必要に応じて情報を適切に加工することにより、当該労働者の健康を確保するための就業上の措置を実施するため必要な情報に限定して提供しなければならないこととし、診断名、検査値若しくは具体的な愁訴の内容等の加工前の情報又は詳細な医学的情報は事業者に提供してはならないものとする。
なお、事業場の産業医等ではなく、外部の医師が面接指導を実施した場合、当該医師は、当該労働者の健康を確保するために必要な範囲で、当該労働者の同意を取得した上で、当該事業場の産業医等に対して加工前の情報又は詳細な医学的情報を提供することができるものとする。
- 心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
- 趣旨
- ストレスチェック制度の基本的な考え方
- ストレスチェック制度の実施に当たっての留意事項
- ストレスチェック制度の手順
- 衛生委員会等における調査審議
- ストレスチェック制度の実施体制の整備
- ストレスチェックの実施方法等
- 面接指導の実施方法等
- ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析及び職場環境の改善
- ストレスチェック制度に関する労働者の健康情報の保護
- ストレスチェック制度に関する労働者の保護
- その他の留意事項等
- 定義
- 新着
- 模擬テストに第2種衛生管理者R5年度上期を追加しました。
- 模擬テストに第1種衛生管理者R5年度上期を追加しました。
- 模擬テストに第2種衛生管理者R4年度下期を追加しました。
- 模擬テストに第1種衛生管理者R4年度下期を追加しました。
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- 労働衛生関係主要条項
- 労働安全衛生法第六十六条の五第二項の規定に基づく健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
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- 心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
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【 更新日: 2017-4-11】