ホーム>学習コーナー>学習コーナー>化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針リスクの見積り

9.リスクの見積り

(1) 事業者は、リスク低減措置の内容を検討するため、安衛則第34条の2の7第2項に基づき、次に掲げるいずれかの方法(危険性に係るものにあっては、ア又はウに掲げる方法に限る。)により、又はこれらの方法の併用により化学物質等によるリスクを見積もるものとする。

ア 化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は化学物質等により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)及び当該危険又は健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法。具体的には、次に掲げる方法があること。

(ア) 発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ発生可能性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法

(イ) 発生可能性及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法

(ウ) 発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法

(エ) ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)等を用いてリスクを見積もる方法

(オ) 化学プラント等の化学反応のプロセス等による災害のシナリオを仮定して、その事象の発生可能性と重篤度を考慮する方法

イ 当該業務に従事する労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該化学物質等の有害性の程度を考慮する方法。具体的には、次に掲げる方法があるが、このうち、(ア)の方法を採ることが望ましいこと。

(ア) 対象の業務について作業環境測定等により測定した作業場所における化学物質等の気中濃度等を、当該化学物質等のばく露限界と比較する方法

(イ) 数理モデルを用いて対象の業務に係る作業を行う労働者の周辺の化学物質等の気中濃度を推定し、当該化学物質のばく露限界と比較する方法

(ウ) 対象の化学物質等への労働者のばく露の程度及び当該化学物質等による有害性を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度及び有害性の程度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法

ウ ア又はイに掲げる方法に準ずる方法。具体的には、次に掲げる方法があること。

(ア) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険又は健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関係法令(主に健康障害の防止を目的とした有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第 36 号)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)、四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)及び特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)の規定並びに主に危険の防止を目的とした労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第1に掲げる危険物に係る安衛則の規定)の各条項に規定されている場合に、当該規定を確認する方法。

(イ) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険を防止するための具体的な規定が労働安全衛生法関係法令に規定されていない場合において、当該化学物質等のSDSに記載されている危険性の種類(例えば「爆発物」など)を確認し、当該危険性と同種の危険性を有し、かつ、具体的措置が規定されている物に係る当該規定を確認する方法

(2) 事業者は、(1)のア又はイの方法により見積りを行うに際しては、用いるリスクの見積り方法に応じて、7で入手した情報等から次に掲げる事項等必要な情報を使用すること。

ア 当該化学物質等の性状

イ 当該化学物質等の製造量又は取扱量

ウ 当該化学物質等の製造又は取扱い(以下「製造等」という。)に係る作業の内容

エ 当該化学物質等の製造等に係る作業の条件及び関連設備の状況

オ 当該化学物質等の製造等に係る作業への人員配置の状況

カ 作業時間及び作業の頻度

キ 換気設備の設置状況

ク 保護具の使用状況

ケ 当該化学物質等に係る既存の作業環境中の濃度若しくはばく露濃度の測定結果又は生物学的モニタリング結果

(3) 事業者は、(1)のアの方法によるリスクの見積りに当たり、次に掲げる事項等に留意するものとする。

ア 過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もること。

イ 負傷又は疾病の重篤度は、傷害や疾病等の種類にかかわらず、共通の尺度を使うことが望ましいことから、基本的に、負傷又は疾病による休業日数等を尺度として使用すること。

ウ リスクアセスメントの対象の業務に従事する労働者の疲労等の危険性又は有害性への付加的影響を考慮することが望ましいこと。

(4) 事業者は、一定の安全衛生対策が講じられた状態でリスクを見積もる場合には、用いるリスクの見積り方法における必要性に応じて、次に掲げる事項等を考慮すること。

ア 安全装置の設置、立入禁止措置、排気・換気装置の設置その他の労働災害防止のための機能又は方策(以下「安全衛生機能等」という。)の信頼性及び維持能力

イ 安全衛生機能等を無効化する又は無視する可能性

ウ 作業手順の逸脱、操作ミスその他の予見可能な意図的・非意図的な誤使用又は危険行動の可能性

エ 有害性が立証されていないが、一定の根拠がある場合における当該根拠に基づく有害性

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【 更新日: 2011-10-22

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