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2 防毒マスクの選択に当たっての留意事項

 防毒マスクの選択に当たっては、次の事項に留意すること。

(1) 防毒マスクは、機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)第14条の規定に基づき吸収缶(ハロゲンガス用、有機ガス用、一酸化炭素用、アンモニア用及び亜硫酸ガス用のものに限る。)及び面体ごとに付されている型式検定合格標章により、型式検定合格品であることを確認すること。

(2) 次の事項について留意の上、防毒マスクの性能が記載されている取扱説明書等を参考に、それぞれの作業に適した防毒マスクを選ぶこと。

ア 作業内容、作業強度等を考慮し、防毒マスクの重量、吸気抵抗、排気抵抗等が当該作業に適したものを選ぶこと。具体的には、吸気抵抗及び排気抵抗が低いほど呼吸が楽にできることから、作業強度が強い場合にあっては、吸気抵抗及び排気抵抗ができるだけ低いものを選ぶこと。

イ 作業環境中の有害物質(防毒マスクの規格第1条の表下欄に掲げる有害物質をいう。以下同じ。) の種類、濃度及び粉じん等の有無に応じて、面体及び吸収缶の種類を選ぶこと。その際、次の事項について留意すること。

(ア) 作業環境中の有害物質の種類、発散状況、濃度、作業時のばく露の危険性の程度を着用者に理解させること。

(イ) 作業環境中の有害物質の濃度に対して除毒能力に十分な余裕のあるものであること。なお、除毒能力の高低の判断方法としては、防毒マスク及び防毒マスク用吸収缶に添付されている破過曲線図から、一定のガス濃度に対する破過時間(吸収缶が除毒能力を喪失するまでの時間)の長短を比較する方法があること。 例えば、次の図(省略)に示す吸収缶A及び同Bの破過曲線図では、ガス濃度1%の場合を比べると、破過時間はAが30分、Bが55分となり、Aに比べてBの除毒能力が高いことがわかること。

(ウ) 有機ガス用防毒マスクの吸収缶は、有機ガスの種類により防毒マスクの規格第7条に規定される除毒能力試験の試験用ガスと異なる破過時間を示す場合があること。特に、メタノール、ジクロルメタン、二硫化炭素、アセトン等については、試験用ガスに比べて破過時間が著しく短くなるので注意すること。

(エ) 使用する環境の温度又は湿度によっては、吸収缶の破過時間が短くなる場合があること。有機ガス用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の温度又は湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向があり、沸点の低い物質ほど、その傾向が顕著であること。また、一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にあること。

(オ) 防毒マスクの吸収缶の破過時間を推定する必要があるときには、当該吸収缶の製造者等に照会すること。

(カ) ガス又は蒸気状の有害物質が粉じん等と混在している作業環境中では、粉じん等を捕集する防じん機能を有する防毒マスクを選択すること。その際、次の事項について留意すること。

 (i) 防じん機能を有する防毒マスクの吸収缶は、作業環境中の粉じん等の種類、発散状況、作業時のばく露の危険性の程度等を考慮した上で、適切な区分のものを選ぶこと。なお、作業環境中に粉じん等に混じってオイルミスト等が存在する場合にあっては、液体の試験粒子を用いた粒子捕集効率試験に合格した吸収缶(L1,L2及びL3)を選ぶこと。また、粒子捕集効率が高いほど、粉じん等をよく捕集できること。

 (ii) 吸収缶の破過時間に加え、捕集する作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況及び濃度が使用限度時間に影響するので、これらの要因を考慮して選択すること。なお、防じん機能を有する防毒マスクの吸収缶の取扱説明書等には、吸気抵抗上昇値が記載されているが、これが高いものほど目詰まりが早く、より短時間で息苦しくなることから、使用限度時間は短くなること。

 (iii) 防じん機能を有する防毒マスクの吸収缶のろ過材は、一般に粉じん等を捕集するに従 って吸気抵抗が高くなるが、S1、S2又はS3のろ過材では、オイルミスト等が堆積した場合に吸気抵抗が変化せずに急激に粒子捕集効率が低下するもの、また、L1、L2又はL3のろ過材でも多量のオイルミスト等の堆積により粒子捕集効率が低下するものがあるので、吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと。

(キ) 2種類以上の有害物質が混在する作業環境中で防毒マスクを使用する場合には次によること。  (i) 作業環境中に混在する2種類以上の有害物質についてそれぞれ合格した吸収缶を選定すること。  (ii) この場合の吸収缶の破過時間については、当該吸収缶の製造者等に照会すること。

(3) 防毒マスクの顔面への密着性の確認着用者の顔面と防毒マスクの面体との密着が十分でなく漏れがあると有害物質の吸入を防ぐ効果が低下するため、防毒マスクの面体は、着用者の顔面に合った形状及び寸法の接顔部を有するものを選択すること。そのため、以下の方法又はこれと同等以上の方法により、各着用者に顔面への密着性の良否を確認させること。 まず、作業時に着用する場合と同じように、防毒マスクを着用させる。なお、保護帽、保護眼鏡等の着用が必要な作業にあっては、保護帽、保護眼鏡等も同時に着用させる。その後、いずれかの方法により密着性を確認させること。

ア 陰圧法 防毒マスクの面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて吸気口をふさぐ。息を吸って、防毒マスクの面体と顔面との隙間から空気が面体内に漏れ込まず、面体が顔面に吸いつけられるかどうかを確認する。

イ 陽圧法 防毒マスクの面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて排気口をふさぐ。息を吐いて、空気が面体内から流出せず、面体内に呼気が滞留することによって面体が膨張するかどうかを確認する。

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【 更新日: 2011-10-22

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