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3 防毒マスクの使用に当たっての留意事項
防毒マスクの使用に当たっては、次の事項に留意すること。
(1) 防毒マスクは、酸素濃度18%未満の場所では使用してはならないこと。このような場所では給気式呼吸用保護具を使用させること。
(2) 防毒マスクを着用しての作業は、通常より呼吸器系等に負荷がかかることから、呼吸器系等に疾患がある者については、防毒マスクを着用しての作業が適当であるか否かについて、産業医等に確認すること。
(3) 防毒マスクを適正に使用するため、防毒マスクを着用する前には、その都度、着用者に次の事項について点検を行わせること。
ア 吸気弁、面体、排気弁、しめひも等に破損、き裂又は著しい変形がないこと。
イ 吸気弁、排気弁及び弁座に粉じん等が付着していないこと。なお、排気弁に粉じん等が付着している場合には、相当の漏れ込みが考えられるので、陰圧法により密着性、排気弁の気密性等を十分に確認すること。
ウ 吸気弁及び排気弁が弁座に適切に固定され、排気弁の気密性が保たれていること。
エ 吸収缶が適切に取り付けられていること。
オ 吸収缶に水が侵入したり、破損又は変形していないこと。
カ 吸収缶から異臭が出ていないこと。
キ ろ過材が分離できる吸収缶にあっては、ろ過材が適切に取り付けられていること。
ク 未使用の吸収缶にあっては、製造者が指定する保存期限を超えていないこと。 また、包装が破損せず気密性が保たれていること。
ケ 予備の防毒マスク及び吸収缶を用意していること。
(4) 防毒マスクの使用時間について、当該防毒マスクの取扱説明書等及び破過曲線図、製造者等への照会結果等に基づいて、作業場所における空気中に存在する有害物質の濃度並びに作業場所における温度及び湿度に対して余裕のある使用限度時間をあらかじめ設定し、その設定時間を限度に防毒マスクを使用させること。
また、防毒マスク及び防毒マスク用吸収缶に添付されている使用時間記録力ードには、使用した時間を必ず記録させ、使用限度時間を超えて使用させないこと。
なお、従来から行われているところの、防毒マスクの使用中に臭気等を感知した場合を使用限度時間の到来として吸収缶の交換時期とする方法は、有害物質の臭気等を感知できる濃度がばく露限界濃度より著しく小さい物質に限り行っても差し支えないこと。以下に例を掲げる。
アセトン(果実臭)
クレゾール(クレゾール臭)
酢酸イソブチル(エステル臭)
酢酸イソプロピル(果実臭)
酢酸エチル(マニュキュア臭)
酢酸ブチル(バナナ臭)
酢酸プロピル(エステル臭)
スチレン(甘い刺激臭)
1-ブタノール(アルコール臭)
2-ブタノール(アルコール臭)
メチルイソブチルケトン(甘い刺激臭)
メチルエチルケトン(甘い刺激臭)
(5) 防毒マスクの使用中に有害物質の臭気等を感知した場合は、直ちに着用状態の確認を行わせ、必要に応じて吸収缶を交換させること。
(6) 一度使用した吸収缶は、破過曲線図、使用時間記録カード等により、十分な除毒能力が残存していることを確認できるものについてのみ、再使用させて差し支えないこと。
ただし、メタノール、二硫化炭素等破過時間が試験用ガスの破過時間よりも著しく短い有害物質に対して使用した吸収缶は、吸収缶の吸収剤に吸着された有害物質が時間と共に吸収剤から微量ずつ脱着して面体側に漏れ出してくることがあるため、再使用させないこと。
(7) 防毒マスクを適正に使用させるため、顔面と面体の接顔部の位置、しめひもの位置及び締め方等を適切にさせること。また、しめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定させること。
(8) 着用後、防毒マスクの内部への空気の漏れ込みがないことをフィットチェッカー等を用いて確認させること。
なお、密着性の確認方法は、上記2の(3)に記載したいずれかの方法によること。
(9) 次のような防毒マスクの着用は、有害物質が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがあるため、行わせないこと。
ア タオル等を当てた上から防毒マスクを使用すること。
イ 面体の接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。
ウ 着用者のひげ、もみあげ、前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり、排気弁の作動を妨害するような状態で防毒マスクを使用すること。
(10) 防じんマスクの使用が義務付けられている業務であって防毒マスクの使用が必要な場合には、防じん機能を有する防毒マスクを使用させること。
また、吹付け塗装作業等のように、防じんマスクの使用の義務付けがない業務であっても、有機溶剤の蒸気と塗料の粒子等の粉じんとが混在している場合については、同様に、防じん機能を有する防毒マスクを使用させること。
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【 更新日: 2011-10-22】