ホーム>学習コーナー>職業性疾病>VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン>はじめに

1 はじめに

 近年、マイクロエレクトロニクスや情報処理を中心とした技術革新により、IT(情報技術)化が急速に進められており、VDT(Visual Display Terminals)が広く職場に導入されてきたことに伴い、職場環境、労働形態等についても大きく変化する状況にある。

 昭和60年12月に「VDT作業のための労働衛生上の指針」が策定された後、最近におけるVDT作業の状況として、

(1) VDT作業従事者の増大

(2) ノート型パソコンの普及

(3) マウス等入力機器の多様化

(4) 多様なソフトウェアの普及

(5) 大型ディスプレイ等の増加

(6) インターネットの普及

(7) 携帯情報端末等の普及

 等があげられ、職場におけるVDT作業は大きく変化するとともに、現状のVDT作業における問題点も指摘されているところである。

 労働省において平成10年に実施した「技術革新と労働に関する実態調査」によれば、VDT作業を行っている作業者のうち、精神的疲労を感じているものが36.3%、身体的疲労を感じているものが77.6%にも上っている。

 VDT作業に従事する者(以下「作業者」という。)の心身の負担を軽減するためには、事業者が作業環境をできる限りVDT作業に適した状況に整備するとともに、VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように適正な作業管理を行うことが重要である。

 また、作業者が心身の負担を強く感じている場合や身体に異常がある場合には、早期に作業環境、作業方法等の改善を図り、VDT作業を支障なく行うことができるようにする必要があり、そのためには、事業者が作業者の健康状態を正しく把握し、できるだけ早い段階で作業者の健康状態に応じた適正な措置を講ずることができるよう、作業者の健康管理を適正に行うことが重要である。

 本ガイドラインは、このような考え方により、VDT作業における作業環境管理、作業管理、健康管理等の労働衛生管理について、その後、得られた産業医学、人間工学等の分野における知見に基づいて見直し、作業者の心身の負担を軽減し、作業者がVDT作業を支障なく行うことができるよう支援するために事業者が講ずべき措置等について示したものである。

 このような労働衛生管理が適正に行われるためには、事業者は、安全衛生に関する基本方針を明確にし、安全衛生管理体制を確立するとともに、各級管理者、作業者等の協力の下、具体的な安全衛生計画を作成し、作業環境の改善、適正な作業管理の徹底、作業者の健康管理の充実等の労働衛生管理活動を計画的かつ組織的に進めていく必要がある。

 また、作業者がその趣旨を理解し、積極的に措置の徹底に協力することが極めて重要であるので、適切な労働衛生教育を実施することが不可欠である。

 なお、本ガイドラインは、標準的なVDT作業を対象としたものであるので、各事業場においては、これをもとに、衛生委員会等で十分に調査審議の上、VDTを使用する作業の実態に応じて、VDT作業に関する労働衛生管理基準を定めるとともに、当該基準を職場の作業実態によりよく適合させるため、衛生委員会等において、一定期間ごとに評価を実施し、必要に応じ、見直しを行うことが重要である。

 さらに、この基準をより適正に運用するためには、労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年労働省告示第53号)に基づき、事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動の一環として取り組むことが効果的である。

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【 更新日: 2011-10-22

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