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3 健康保持増進計画等

(1)健康保持増進計画の策定

イ 健康測定、運動指導等の健康保持増進措置は、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにする必要がある。このため、事業者は、労働者の健康の保持増進を図るための基本的な計画(以下「健康保持増進計画」という。)を策定するように努めることが必要である。

  健康保持増進計画の策定に当たっては、事業者自らが事業場における健康保持増進を積極的に支援することを表明するとともに、衛生委員会等の活用等も含め、その実施体制を確立する必要がある。

  健康保持増進計画の実施においては、実施状況等を適切に評価し、評価結果に基づき必要な改善を行うことにより、健康保持増進の一層の充実・向上に努めることが必要である。

  健康保持増進計画で定める事項は、次のとおりである。

[1] 事業者が健康保持増進を積極的に推進する旨の表明に関すること。

[2] 健康保持増進計画の目標の設定に関すること。

[3] 事業場内健康保持増進体制の整備に関すること。

[4] 労働者に対する健康測定、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、保健指導等健康保持増進措置の実施に関すること。

[5] 健康保持増進措置を講ずるために必要な人材の確保並びに施設及び設備の整備に関すること。

[6] 健康保持増進計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること。

[7] その他労働者の健康の保持増進に必要な措置に関すること。

ロ 事業者は、健康保持増進計画の策定に当たっては、衛生委員会等に付議するとともに、事業場内の健康保持増進計画の策定等、労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策(以下「健康保持増進対策」という。)を推進するためのスタッフ(3(2)を参照)の意見を聴くための機会を設けるよう努めることが望ましい。

(2)事業場内健康保持増進対策の推進体制の確立事業者は、事業場内の健康保持増進対策を推進する体制を確立するため、次に掲げる組織、スタッフ等を活用、整備するように努めることが必要である。

  なお、本指針においては、望ましい体制を示したものであり、事業場の状況に応じて対応困難な部分がある場合には、事業者は、対応可能な部分から体制の整備に努めることが重要である。

イ 衛生委員会等

(イ)事業場において、衛生管理者、衛生推進者等から健康保持増進計画の総括的推進担当者(以下「推進担当者」という。)を選任し、健康保持増進計画の継続的な推進を行わせること。

(ロ)常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、衛生委員会又は安全衛生委員会において、健康保持増進対策を積極的に調査審議すること。

  その際、産業医等健康保持増進措置を実施するスタッフの意見を十分取り入れる体制を整備すること。

(ハ)常時50人未満の労働者を使用する事業場においても、衛生に関する事項について関係労働者の意見を聴く際には、健康保持増進対策に関しても意見を求めるように努めること。

ロ 健康保持増進措置を実施するスタッフ

(イ)事業場における健康保持増進措置を実施するに当たっての必要なスタッフの種類とその役割は、次のとおりである。

[1] 産業医

  健康測定を実施し、その結果に基づいて個人ごとの指導票を作成する。さらに、当該個人指導票により、健康保持増進措置を実施する他のスタッフに対して指導を行う。

[2] 運動指導担当者

  健康測定の結果に基づき、個々の労働者に対して具体的な運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行う。また、自ら又は運動実践担当者に指示し、当該プログラムに基づく運動実践の指導援助を行う。

[3] 運動実践担当者

  運動プログラムに基づき、運動指導担当者の指示のもとに個々の労働者に対する運動実践の指導援助を行う。

[4] 心理相談担当者

  健康測定の結果に基づき、メンタルヘルスケアが必要と判断された場合又は問診の際に労働者自身が希望する場合に、産業医の指示のもとにメンタルヘルスケアを行う。

[5] 産業栄養指導担当者

  健康測定の結果に基づき、必要に応じて栄養指導を行う。

[6] 産業保健指導担当者

  健康測定の結果に基づき、必要な保健指導を行う。

(ロ)これらのスタッフは、それぞれの専門分野における十分な知識・技能を有していることが必要であると同時に、労働衛生、労働生理などについての知識を有していることが不可欠である。このため、事業者は、別表に定める研修を受講させこれらのスタッフの養成に努める必要があるが、これらのスタッフは、一定の要件の下、兼任することも可能である。

  また、これらのスタッフすべてを養成することが困難な事業者にあっても、計画的・段階的に養成を行うことが望ましい。

  なお、事業者は、これらのスタッフに対して、上記研修修了後においても、それぞれの専門分野に適した資質の向上のための研修に参加させるように努めることが望ましい。

ハ 健康保持増進専門委員会

(イ)上記ロの健康保持増進措置を実施するスタッフを選任している事業場は、当該スタッフ及び推進担当者を構成員として、産業医を長とする「健康保持増進専門委員会」を設置することが望ましい。

(ロ)「健康保持増進専門委員会」では、個々の労働者に対する健康保持増進措置に関して専門技術的立場から検討及び評価を行い、個々の労働者に対する各種指導の具体的かつ適切な実施に役立てるものとする。

ニ 事業場における健康保持増進対策の実施体制

(イ)衛生委員会等で策定された健康保持増進計画を実行していくために、事業場における健康保持増進対策の実施担当部門を明確にし、推進担当者、衛生委員会等との緊密な連携のもとに、各職場を含めた健康保持増進対策の実施体制を確立することが重要である。

(ロ)各職場においては、小集団活動体制の活用等労働者の健康保持増進対策の実効ある普及、定着が図られるよう創意工夫を行い、協力体制を整えることが望ましい。

(3)労働者健康保持増進サービス機関等の利用

イ 3(2)ロで記した健康保持増進措置を実施するためのスタッフは原則的には事業場内に配置されるべきものである。しかし、事業者がこれらのスタッフすべてを確保することが困難な場合には、事業者が行うべき健康測定、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導及び保健指導について、[1]健康測定、[2]運動プログラム作成及び指導、[3]運動実践指導、[4]メンタルヘルスケア、[5]栄養指導、[6]保健指導のすべてを実施することが可能である労働者健康保持増進サービス機関(事業者の委託を受けて、労働者の健康の保持増進のための業務を行う機関をいう。以下同じ。)などに委託して実施することが適当である。

ロ 事業場内に3(2)ロで記した健康保持増進措置を実施するスタッフのうち運動指導に関するスタッフのみが不足していること等により、運動指導を行うことが困難なときは、当該事業場の産業医と連携を取りながら運動指導を行うことが可能である企業外の運動指導専門機関に委託して実施することが適当である。

ハ 労働者健康保持増進サービス機関又は運動指導専門機関(以下「労働者健康保持増進サービス機関等」という。)を利用する場合、健康保持増進計画の策定に当たっては、事業者は当該労働者健康保持増進サービス機関等の各専門スタッフの意見を聴くための機会を設けるよう努めることが望ましい。

  また、この場合、事業者は、3(2)ハに記した健康保持増進専門委員会を開催する際には、事前に調整した上、労働者健康保持増進サービス機関等の各専門スタッフの出席を求めること、又は産業医若しくは推進担当者が労働者健康保持増進サービス機関等と十分な連携をとることで健康保持増進専門委員会の機能を代替させることが望ましい。

(4)健康保持増進対策の実施結果の評価

  事業者は、事業場における健康保持増進対策を、継続的かつ計画的に推進していくためには、当該対策の実施結果を定期的に、総合的かつ個別的に評価するとともに、当該評価のための各種資料を作成し、新たな健康保持増進計画に反映させる等健康保持増進対策の内容を充実するように努めることが必要である。

(5)その他

イ 秘密の保持

  健康保持増進措置の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の心身の欠陥その他の秘密を他に漏らしてはならない。

ロ 記録の保存

  事業者は、事業場における健康保持増進対策を継続的かつ計画的に推進していくために、健康測定の結果、運動指導の内容等健康保持増進措置に関する記録を保存することが必要である。

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【 更新日: 2011-10-22

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