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有害エネルギー

高温

熱中症(熱虚脱熱痙攣熱射病)を予防するには、温熱環境の4要素(気温湿度気流放射熱)と労働強度を吟味し改善する。

高温環境の評価には、温熱環境の4要素を考慮に入れた湿球黒球温度指数(WBGT)を用いる。

 

日本産業衛生学会の高温の許容基準

作業強度 許容温度条件(WBGT℃)
RMR~1(極軽作業) 32.5
RMR~2(軽作業) 30.5
RMR~3(中等度作業) 29.0
RMR~4(中等度作業) 27.5
RMR~5(重作業) 26.5

 

 

動作別のRMRの分類

主動作
部分
動かし方 訴え 第3者
の感じ
RMR 作業例
手先の動作が
上肢まで及ぶ
機械的 手首が疲れる
が慣れる
疲労感が
見えない
0~0.5 電話0.4
記帳0.5
計器監視0.5
意識的 長時間で
局所疲労
0.5~1.0 ひずみとり0.9
自動車運転1.0
前腕まで 軽作業 1.0~2.0 施盤1.1
監視ボタン操作1.2
平地歩行ゆっくり1.5
上腕まで 時々休み
たくなる
筋的作業小 2.0~3.0 普通2.1
速足3.5
コンクリート磨き2.0
丸のこ2.5
上肢 普通の動作 慣れないと苦しい モーションは
大きいが
力は入らない
3.0~4.0 懸垂グラインダ3.0
自転車3.4
やすりかけ4.2
比較的大きく
力も入る
局所疲労があり
長く続けられない
上肢全体を
使い力が
入っている様子
4.0~5.5 鋲打ち4.2
荒のこ5.0
全身抱き上げる、
回す、引く、押す、
投げる、上下動、
かきよせる
普通の動作 30~45分で休憩 息がはずんで
いる
5.5~6.5 タップ5.7
ショベル6.5
階段歩行(登り6.5)
(下り2.6)
動作が大きく
力が均等
20分続けると
苦しくなる
顔色が変わる
汗が出る
6.5~8.0 ハンマー7.8
瞬間的に
全身に力を
集中
5~6分すると
疲労困憊
10分で呼吸が
はずみ、発汗
苦しそうで
無口
8.0~9.5 積み上げ9.0
激しい作業だが
ある程度は
続けられる
5分と
続けられない
まもなく
呼吸が荒く、
顔色が変わる
10.0~12.0 車押し10.0
つるはし10.5
ショベル11.0
職業的重筋労働者 1分以内しか
たえられない
ほぼ夢中で
作業をする
話しかけても
答えない。
疲労感がわかる
12.0~ ハンマー19.3

寒冷

産熱が体熱の放散に追いつかなくなると体温が低下し、ふるえや意識の低下が見られるようになる。直腸温36℃以下にならないようにする。

手の指で10℃、足の指で13℃まで低下すると痛みや痺れが起こる。これは、凍傷の危険信号である。

寒冷作業の許容基準

気温 作業強度 連続作業時間
-10~-25 軽作業(RMR ~2) ~50分
中等度作業(RMR ~3) ~60分
-26~-40 軽作業(RMR ~2) ~30分
中等度作業(RMR ~3) ~45分
-41~-55 軽作業(RMR ~2) ~20分
中等度作業(RMR ~3) ~30分

気圧

絶対気圧1気圧とは(答え

我々の身体が大気中の海面上で体表面1c㎥あたりに受けている圧力のこと。ゲージ圧では0気圧。

1kg

絶対圧力1気圧=ゲージ圧0気圧=1013.3ヘクトパスカル=760mmHg=1.034kg/c㎡=14.7lb/in2(ポンド/平方インチ)=10.36mH2O

4/3ヘクトパスカル=1mmHg

高気圧とは(答え

絶対気圧1気圧より高い状態。

低気圧とは(答え

絶対気圧1気圧より低い状態。

低気圧時の影響(答え

酸素欠乏。特に3000m以上の高所で考慮する。

高気圧下の症状(答え

酸素中毒、窒素酔い、二酸化炭素中毒。ガス圧が高くなると体内に溶け込み毒性を示す。

減圧症とは(答え

急激に気圧が低下したことで起こる健康影響。潜函作業者や潜水作業者に見られる。
高圧中に吸入された窒素は、脂肪組織や血液に溶けているが、減圧で窒素が気泡になり血管を詰まらせたりして起こる。

騒音

騒音は、そのものの不快感、物音を聞こうとすることで精神疲労を起こし、作業能率が低下したり聴力障害を起こす。

デシベル(dB)とは(答え

騒音レベルを表す単位。防音室での最小可聴音を0dBとする。

騒音レベルと人の感じ方

dB 騒音の感じ 実例
140    
130 耳の疼痛感  
120   ジェット機の爆音
110   電車がトンネル走行中に窓を開いた状態、さく岩ドリル
100 耳を覆いたくなる ガード下や地下鉄電車通過時
90 目前の人と話せない 騒々しい工場
80 張り上げないと聞こえない 高架鉄道(車内)
70 意識的に大声で話す 雑踏、機械工場
60 うるさいが普通に会話できる 忙しい事務室内
50 音が耳について落ち着かない 事務室、静かな歩行群集内
40 音からの開放感がないが静か 耳をすませた聴衆内で声を落とした会話
30 静かに落ち着いた感じ 放送用スタジオ内、静夜中
20 ひっそりとしている  
10   ささやき声
0   防音室での最小可聴音

Hzとは(答え

周波数を表す単位。1秒間における周波の数。サイクル毎秒ともいう。音の高さは、Hzが高いほど、高い音となる。

騒音の測定に使うもの(答え

普通騒音計、精密騒音計、周波数分析器

周波数分析結果を用いた騒音許容基準は、永久的聴力損失を防ぐために、騒音の大きさ、中心周波数及び1日の曝露時間の3つの要因を基に、10年以上の作業期間中に聴力損失が、2000Hzの音で15dBいかに抑えられる基準。

騒音計のA特性で測定した場合の許容基準

曝露時間(分) 許容騒音レベル(dB(A))
~480 85
~240 88
~120 91
~60 94
~30 97

振動

振動障害とは(答え

振動を発生し、手で保持して使用する工具(チェンソー、削岩機、ビックハンマー、チッピングハンマー、グラインダー)を長時間使用すると起こる、手指・上肢のしびれ・痛み・こわばりなどの神経症状や手指の蒼白現象(レイノー現象、白指発作)などの末梢循環障害、上肢の骨・関節・筋肉の障害。

レイノー現象は冬期に発生しやすい。

振動障害が起こりやすい場合(答え

50~100Hzの振動工具を使っている場合

振動障害の予防(答え

低振動工具を使用し、作業時間の管理、喫煙をしない、身体を冷やさないなど。

全身の振動による不快感、注意力散漫、作動の困難、視覚障害、全身疲労は、車酔いや船酔いでも起こる。振動は、騒音を伴っているので障害が共存することも多い。

超音波

超音波とは(答え

可聴域を超えた高い周波数(16kHz以上)を持つ音波。

非電離放射線

有害光線とは(答え

赤外線や紫外線のこと。目には見えないが強すぎると傷害を起こす。

赤外線は、組織の深部まで浸透し、吸収されて熱となるので、熱線ともいう。太陽光以外には、灼熱しているものからも放射される。赤外線による過度の体温上昇は、熱中症を引き起こす。眼に当たった場合は白内障になる。

紫外線は、抗クル病作用があるが、強いものでは障害をきたす。紫外線とは電磁波のうち100~400nmの波長域のものをいう。190nmより短波長のものを真空紫外線、190~280nmをC紫外線(UVC)、280~320nmをB紫外線(UVB)、320~400nmをA紫外線(UVA)という。UVBとUVCは皮膚を変色させる。紫外線曝露は老化と同様の変化を起こし、皮膚がんの原因にもなる。眼では、角膜、水晶体、網膜に影響を与える。

レーザー光線とは(答え

人工の光で、一定の波長、同位相、指向性と集光性に優れるといった特徴を持つ。レーザー光線による障害には、眼や皮膚がある。

マイクロ波とは(答え

赤外線より波長が長く、1mm又は1mの電磁波。レーダー、高周波炉、医療用ジアテルミー、電子レンジで被爆。赤外線よりも深層に到達し、筋肉に吸収されて体温上昇作用を生ずる。

電離放射線

電離放射線とは(答え

電離作用を持つ放射線。

放射性同位元素とは(答え

ラジオアイソトープという。電離放射線を放出し、他の元素に変わる元素。

半減期とは(答え

放射性同位元素が他の元素に変わり、下の原子数の半分になる時間。

電磁波とは(答え

エックス線、ガンマ線

エックス線は、医療や分析、検査で使われる。エックス線装置を使って発生させる電離放射線。

ガンマ線

物体の透過力が強く、非破壊検査や計器に使われる。コバルト60、イリジウム192などの放射性同位元素から放射される。

粒子線とは(答え

電子線、ベータ線、陽子線、重陽子線、中性子線

放射線に晒される形(答え

外部照射(装置からの放射線にさらされるもの)、内部照射(体内に取り込まれた放射性同位元素からの放射線にさらされる)

C/kg(クーロン毎キログラム)とは(答え

空気を電離する能力。エックス線、ガンマ線の照射線量の単位。

Sv(シーベルト)とは(答え

人体に与える影響を示したもの。線量。1Gyのエックス線、ガンマ線に被爆したときの人体影響に相当する線量を1Svという。

Bq(ベクレル)とは(答え

放射性同位元素の量を表す単位。1Bqは1d.p.s(毎秒の原子崩壊数)。

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【 更新日: 2011-10-22

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