ホーム>学習コーナー>作業環境要素>有害作業環境>有害化学物質

有害化学物質

化学物質が固体の大きな塊として存在する場合は、人体に有害となることは少ない。小さな粒子の場合、吸入されて健康上の問題を生じることがある。粒子は、粉じんヒュームに分類される。

粉じんとは、外力により小さな粒子となったもの。粒子の大きさは不ぞろいである。

ヒュームとは、固体が気化して微細な粒子になったもの。球状で粒の大きさは揃っている。

ミストとは、液体の物質が微粒子として空気中に飛散したもの。

気体の物質は、ガス蒸気がある。

ガスは、常温で気体の物質のことをいう。

蒸気は、常温では液体や固体である物質が、蒸発等で気体になったもの。

作業工程において液体が加熱されると、蒸気圧が上昇し、蒸気として発散する量が増加する。蒸気圧が高い物質として、有機溶剤水銀がある。

化学物質の吸収、排泄、蓄積

作業環境では、吸入経路による吸収がもっとも重要で、飲み込む場合の経路は重要性が低いが、手を介して摂取する可能性は考えておく必要がある。皮膚からの吸収は、ある種の有機溶剤では無視できない程度に達することがある。

体内に吸収された化学物質は、血流中に移行し、全身を循環する。全身の臓器に移行すると同時に、腎臓肝臓などをとおって体外に排泄される。多くの物質は、肝臓等で分解され、代謝物となって全身を循環した後、排泄される。その間に濃度が有害なレベルになると、臓器や組織が障害を受ける。

化学物質を吸収し続けると、体内で濃度が上昇し、体外へ排泄される量も増える。吸収が持続すると、ある時点で、吸収量と排泄量が等しくなり、それ以上吸収しても体内の濃度は上昇しない、平衡状態となる。

生物学的半減期とは(答え

化学物質の体内濃度が最初の半分になるまでの時間のこと。

平衡状態の体内濃度の半分に到達する時間は、排泄過程における生物学的半減期に一致する。そして、生物学的半減期の7~8倍の時間で平衡状態に達する。

化学物質の吸収、排泄、蓄積は、物質によって異なる。
一般的に、有機溶剤は数時間で体内濃度が平衡し、半減期も早い

法令に規定された有害化学物質

製造等禁止物質(答え

  1. 黄燐マッチ
  2. ベンジジン及びその塩
  3. 4-アミノジフェニル及びその塩
  4. 石綿
  5. 4-ニトロジフェニル及びその塩
  6. ビス(クロロメチル)エーテル
  7. ベータ-ナフチルアミン及びその塩
  8. ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が、当該ゴムのりの溶剤の5%を超えるもの
  9. 第2号、第3号もしくは第5号~第7号までのものをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物

製造許可物質(製造時に厚生労働大臣の許可が必要な物質)(8つ)(答え

  1. ジクロルベンジジン及びその塩
  2. アルファ-ナフチルアミン及びその塩
  3. 塩素化ビフェニル(PCB)
  4. オルト-トリジン及びその塩
  5. ジアニシジン及びその塩
  6. ベリリウム及びその化合物
  7. ベンゾトリクロリド
  8. 第1~6号のものを重量の1%を超えて含有、または7をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他のもの(合金の場合、ベリリウムんをその重量の3%を超えて含有するもの)

第3類物質(答え

  1. アンモニア
  2. 一酸化炭素
  3. 塩化水素
  4. 硝酸
  5. 二酸化硫黄
  6. フェノール
  7. ホスゲン
  8. ホルムアルデヒド
  9. 硫酸
  10. 1~9のものを含有する製剤その他のもので厚生労働省令で定めるもの

有害曝露作業報告書を提出しなければならないもの(答え

  1. エピクロロヒドリン
  2. 塩化ベンジル
  3. 1,3-ブタジエン
  4. ホルムアルデヒド
  5. 硫酸ジエニル

労働者に健康障害を生ずる恐れのあるもので政令で定めるものを譲渡し、提供する者は、文書の交付等で、その名称成分及びその含有量物理的及び化学的性質人体への作用などの事項を通知しなければならない。

通知対象物を譲渡、提供する者は、通知事項に変更が生じた場合、速やかにその事項を通知するよう努めなければならない。

事業者は、通知された事項は、作業場の見やすい箇所に常時掲示し、備え付け、労働者に周知させなければならない。

厚生労働大臣は、労働者の健康障害を防止するための措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を公表する。

厚生労働大臣は、事業者に対し必要な指導を行える。

化学物質等安全データシート(MSDS)

有害化学物質の譲渡提供をする事業者は、相手先の事業者に、MSDSを交付しなければならない。

MSDSに記載する事項(答え

  1. 名称
  2. 成分及びその含有量
  3. 物理的及び化学的性質
  4. 人体に及ぼす作用
  5. 貯蔵又は取り扱い上の注意
  6. 事故が発生した場合の講ずべき応急の措置
  7. 通知を行う者の氏名及び住所
  8. 化学式又は構造式
  9. 官報公示整理番号
  10. CAS番号
  11. 国連分類及び国連番号
  12. 適用法令

MSDSの対象となる化学物質の範囲(答え

  1. 爆発性
  2. 高圧ガス
  3. 引火性
  4. 可燃性
  5. 自然発火性
  6. 禁水性
  7. 酸化性
  8. 急性毒性
  9. 腐食・刺激性
  10. 特定有害性

有害な化学物質を譲渡提供する事業者が、容器にいれ、包装して譲渡提供する場合は、以下の表示をする。

  1. 名称
  2. 成分及びその含有量
  3. 危険有害性の種類
  4. 人体に及ぼす作用
  5. 貯蔵又は取り扱い上の注意
  6. 表示をした者の氏名(法人名)及び住所、電話番号
  7. 注意喚起語
  8. 安定性及び反応性
  9. 絵表示

MSDSの活用(答え

  1. MSDSを作業場の見やすい場所に掲示し、労働者が利用できるようにする
  2. 安全衛生教育を行う
  3. 化学物質等に係る労働災害を防止するために必要な措置を講ずる
  4. 安全衛生委員会において、危険有害性等の理解を深めると共に、取り扱い方法等を調査・審議する

事業者は、法令で規定された有害物質に曝露する恐れのある作業に、労働者を従事させたときは、作業の種類、労働者数、換気設備の設置状況等の、曝露情報を労働基準監督署に報告しなければならない。

サイト内検索
 

【 更新日: 2011-10-22

このページの一番上に戻る