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細部事項

1. 第1条関係

(1) 「化学物質」とは、労働安全衛生法第2条第3号の2の化学物質であって元素及び化合物をいうものであるが、「化合物」とは昭和53年2月10日付け基発第77号通達の記の1の(2)によるものであること。

  ただし、同通達の記の1の(2)のまた書きについては、本指針においては、同また書きのロの固有の使用形状を有するものを除き、化合物として取り扱うものとすること。

  なお、石綿スレート、アーク溶接に用いるチップ等加工の際に明らかに、有害物を発散するものについては、固有の使用形状を有するものであっても、本指針の対象として取り扱うものとすること。

(2) 「混合物」には、化学物質を含有する製剤その他のものが含まれるものであること。

2. 第2条関係

(1) 化学物質等安全データシートの様式は任意であること。

  なお、化学物質等安全データシートの様式例としては、別添1に示すものがあること。

(2) 成分が同一でその含有量が異なる混合物が複数あり、当該成分の危険有害性の種類が同一である場合には、各混合物の成分と含有量の関係を示したリストに当該混合物がどれに該当するかを明示したものを添付すればそれ以外の部分について同一の化学物質等安全データシートで差し支えないものであること。

(3) 化学物質等安全データシートは、別添2に示す文献等を参考にして作成すること。

(4) 化学物質等安全データシートは、化学物質等の危険有害性等について十分な知識を有する者が作成する必要があること。

(5) 化学物質等を継続的に又は反復して、譲渡又は提供するときは、最初に譲渡又は提供する際に化学物質等安全データシートを交付すれば足りること。ただし、化学物質等安全データシートの記載内容を変更した場合にはこの限りでないこと。

(6) 第1項の「危険有害性」については、当分の間、別添3に示す「指針別表の危険有害性に該当する化学物質等」の左欄に示す危険有害性ごとに同右欄に掲げる化学物質等が当該危険有害性を有するものとして取り扱って差し支えないものであること。

  なお、別添3に該当しない化学物質等であっても、別途に示す「化学物質等の危険有害性評価基準」、別添2に示す文献等により、危険有害化学物質等と評価されるものについては、危険有害性があるものとして取り扱うことが望ましいこと。

(7) 混合物の有害性の評価については、原則として混合物の成分であるそれぞれの化学物質の固有の有害性の情報に基づいて行うこと。この場合、原則として特定の有害性の評価にあっては1パーセント以上、それ以外の有害性の評価にあっては5パーセント以上混合物に含有される成分を対象として行うこと。

(8) 第1項の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」は、昭和47年9月18日付け基発第602号通達の記の11の(2)のロに示すものと同様であるが、例示としてはこのほか、一般消費者の生活の用に供するために製造され、かつ、容器に入れられ、又は、包装された食品、アルコール飲料等が含まれるものであること。

(9) 第1項第1号の「名称」の記載は、当該化学物質等が特定できるものであれば、商品名の記載でも差し支えないものであること。

(10) 第1項第2号の「成分」の記載は、国際純正及び応用化学連合が測定した命名法(IUPAC(アイユーパツク)命名法)に準拠した名称又は危険有害性の評価を行う目的のために当該化学物質等を明確に特定することができる名称を記載して行うこと。

(11) 第1項第2号の「含有量」については、原則として重量パーセントで記載すること。

  この場合における重量パーセントの記載は、10パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲をもって行うことができること。

(12) 化学物質等安全データシートの記載に当たって、つぎの[1]から[4]までに掲げる基準のすべてに適合している場合は、当該化学物質等の成分及びその含有量は、記載しなくても差し支えないものであること。

[1] 当該化学物質等に関して特許法(昭和34年法律第121号)第36条第1項による願書が提出されている等当該化学物質等の成分及びその含有量が企業秘密であるという合理的な理由があること。

[2] 当該化学物質等について、成分及びその含有量を除いた危険有害性の種類等の記載事項が化学物質等安全データシートに記載されていること。

[3] 当該化学物質等の成分及びその含有量が企業秘密であることが化学物質等安全データシートに記載されていること。

[4] 当該化学物質等の成分及びその含有量を労働省労働基準局長、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長の要請により速やかに提示することが可能であること。

(13) 第3号の「物理化学的性質」及び第5号の「危険有害性の内容及び程度」については、当該化学物質等安全データシートの作成者が知り得る情報をもとに記載すれば足りるものであること。

  なお、別添2に示す文献等の調査、別途示す「化学物質等の危険有害性試験基準」に基づく試験の実施等により情報を積極的に入手し記載することが望ましいこと。

(14) 第1項第4号の「危険有害性の種類」については、指針の別表に掲げる性質を記載すること。

(15) 第1項第5号の「危険有害性の内容及び程度」のうち有害性の内容及び程度については、ヒトの症例若しくは疫学的情報又は各種危険有害性の試験から得られた情報を記載すること。

(16) 第1項第6号の「貯蔵又は取扱い上の注意」には、次に掲げるものが含まれるものであること。

[1] 貯蔵及び一般的取扱い上の注意

[2] 暴露防止措置

[3] 輸送上の注意

[4] 廃棄上の注意

(17) 第1項第9号の「労働省労働基準局長が定める事項」は、次に掲げるものとすること。

[1] 化学式又は構造式

[2] 官報公示整理番号(労働安全衛生法第57条の2第1項の規定に基づく同法施行令第18条の2第4号に定める化学物質及び同法第57条の2第3項の規定により、その名称等が公表された化学物質について、官報公示の際に付けられた番号等)

[3] CAS(キャス)番号(米国化学会のケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)において化学物質検索を容易にするために付けられた番号)

[4]国連分類及び国連番号

[5]適用法令

(18) 第2項の「前項各号に掲げる事項の変更が生じた場合」には、次の場合等が含まれるものであること。

[1] 危険有害性の情報が新たに明らかになった場合

[2] 新たに法規制の対象になった場合

[3] 新たに暴露防止の技術が確立した場合

(19) 第2項の「通知」の範囲は、原則として、既に化学物質等安全データシートを交付した相手方であるが、当該化学物質等を譲渡又は提供してから長期間経過している場合等で、明らかに当該化学物質等が消費され存在しないと考えられる相手方は対象とならないこと。

3. 第3条関係

(1) 第1項の「表示」は、当該容器又は包装に、必要事項を印刷し、又は、必要事項を印刷した票せんをはり付けて行うこと。ただし、当該容器又は包装に表示事項のすべてを印刷し、又は表示事項のすべてを印刷した票せんをはり付けることが困難な時は、表示事項のうち同項第3号から第7号まで掲げる事項については、当該事項を印刷した票せんを容器又は包装に結び付けることにより表示することができること。

(2) 危険有害化学物質等を容器に入れ、又は包装する以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、化学物質等安全データシートを交付すれば、第1項の表示を行う必要はないこと。

(3) 第1項第1号及び第2号の記載事項は、化学物質等安全データシートのそれぞれ対応する記載事項と同一のものである必要があること。

(4) 第1項第5号の「貯蔵又は取扱い上の注意」については、第2条第1項第6号の「貯蔵又は取扱い上の注意」を要約したものを記載すれば足りるものであること。

(5) 第3項については、当面、労働安全衛生法によるもののほか関係法令に基づく表示がなされ、又は記載事項の変更について関係法令に基づく措置がとられておれば、第1項及び第2項の措置が行われているものとして取り扱うこと。

4. 第4条関係

(1) 「名称」は、第2条第1項第1号の「名称」と同様、当該化学物質等が特定できるものであれば、商品名の記載でも差し支えないものであること。

5. 第6条関係

(1) 第1項は、主に、その事業場において、製品として危険有害化学物質等を製造する場合及び製造中間体として存在する危険有害化学物質等を製造する場合について規定したものであること。

  これらの化学物質等安全データシートは、第2条第1項第1号から第9号に掲げる事項が記載さ れていれば、作業標準書等既存の資料を活用して差し支えないものであること。

(2) 第2項は、主に次に掲げる場合について規定したものであること。

[1] 当該事業場において製品又は製造中間体として製造した危険有害化学物質等を容器等に入れて労働者に取り扱わせる場合。

[2] 譲渡され又は提供を受けた危険有害化学物質等を、その事業場において、新たに容器に小分けする等により、労働者に取り扱わせる場合。ただし、[2]については、表示された容器等か ら移し替える場合であって、かつ、移し替えた危険有害化学物質等の容器等を当該移替えを行 った労働者だけに短期間取り扱わせるときは含まないものであること。

(3) 第3項の「前項に規定する方法以外の方法により労働者に取り扱わせるとき」とは、次に掲げる危険有害化学物質等を労働者に取り扱わせるとき等が含まれるものであること。

[1] ヤード等に野積みされた危険有害化学物質等

[2] 槽類及び塔類等に貯蔵された危険有害化学物質等

(4) 第3項及び第5項の「掲示」には、標識による方法のほかフローチャートの備え付けによる周知等の方法があること。また、第3項については当分の間、関係法令に基づく表示の措置がなされておれば、本項の措置が行われているものとして取り扱うこと。

6. 第7条関係

(1) 第2項の「教育」には、労働安全衛生規則第35条第1項第1号の原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関することについての教育等が含まれるものであること。

(2) 第2項の「教育」は、化学物質等の危険有害性等について十分な知識を有する安全管理者、衛生管理者等が実施することが望ましいこと。

(3) 第2項の「その他の措置」には、化学物質等に係る労働災害防止のための措置が含まれるものであり、本措置を講ずるに当たっては、化学物質等安全データシートの記載事項である応急措置、取扱い上の注意、暴露防止措置等を参考とすること。

  ただし、化学物質等安全データシートは、一般的な取扱いを前提に作成されたものであるので、当該化学物質等を使用する事業者は、当該化学物質等について特殊な取扱い等を行う部分については、その実態に応じて適切な措置を講じる必要があることに留意すること。

(4) 第3項の委員会に調査審議させる場合には、

[1] 新たに化学物質等の譲渡・提供を受ける場合

[2] 新たに化学物質等を製造する場合

[3] 取り扱っている化学物質等に係る化学物質等安全データシートの内容に重大な変更があった場合等があること。

7. 別表関係

(1) 別表の10の「特定有害性」は、イががん原性、ロが変異原性、ハが生殖毒性、ニが催奇形性、ホ が感作性であること。

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【 更新日: 2011-10-22

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